上田大樹が劇中の映像を担当しました。この作品が持つ、マジックリアリズム的なものや、時間の遷移などの表現を拡張するためのビデオプロジェクションとそれを取り巻く状況をデザインしています。
手法的には、物語の核となる時制の表現と相性がよいフェイクライト・フェイクシャドウを多用し、舞台と映像と照明の境界を曖昧に、魔法的に見えるようにしました。タイトルロールのプロジェクションマッピングを絡めたシーンでは、ドアの形状のパネルを劇団員の5人に振り付けのように動かしてもらいながら、動的なプロジェクションマッピングを行なっています。
毎度ながら、ナイロンでは、ケラさん・劇団員・スタッフ皆さまの映像を使うことへの理解が大きく、その蓄積から生まれるものも多く、本作は現時点での集大成感のある映像演出になったと思います。
本作でプロジェクションが魔法的な力を持つのは、最近のプロジェクション主体の舞台にありがちな映像を映し易い抽象的な面で構成されたセットではなく、具象でオーガニックな美術の力を増幅する形でプロジェクションしてるからでもあったりして、(でもさりげなくプロジェクションのことをしっかり考えてセットをデザインしているBOKETAさん流石です。)本作とは関係ないけど、今後、舞台での映像の使用は全体として増えていくことはあっても減ることはないわけで、建築の世界と同様に、構造物が投影あるいはLEDのための面化していく問題は、良し悪しも含めて、難しいし面白いです。
http://www.cubeinc.co.jp/stage/info/nylon45th.html